《MUMEI》
危険なアイス
その夜は、商店街の皆で近くの自然公園に集まって、花見が行われていた。


去年は、一緒に住んでいるやこちゃんとせいこちゃんが揃って風邪を引いていたのを理由に、私は出席しなかったが、今年は大丈夫だった。


(綺麗だな)


桜は丁度満開だった。


私がほのぼのしている間、俊彦は…


「お〜い、俊彦!丸山一家のお帰りだぞ〜!送って差し上げろ!」


「はいはい!今行きますよ!」


慌ただしく、レンタカーで送迎に追われていた。


この役目は、男性陣の中で交代で回ってくるらしい。

運転手になった者は、当然アルコールも摂取できないし、花見もロクに楽しめない状態だった。


「あ、次、うちね!」
「うちも!」


「あんたらは、健康の為に歩きなさい!」


次々に手を上げる引退組に対して、俊彦は怒鳴った。

確かに、自然公園から各自の家までは、歩けない距離では無かった。


しかし、酔っ払いや子供に歩かせるのは、微妙な距離でもあった。


案の定、俊彦は周囲から、ブーイングを浴びせられてしまった。


私がフォローに入ろうとすると、『甘やかせないほうがいい』と皆に止められてしまった。

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