《MUMEI》

私は立ち上がった。


(な〜んだか、熱いな〜)


ブラウスのボタンを二つ三つ外してみた。


(き〜もち、いい〜)


風を感じながら、歩く。


ドンッ


「あ、ごめんね? 大丈夫?」


「ゆーすけさん…」


私からぶつかったのに、謝ってくれた。


「蝶子ちゃん、…ボタン、外し過ぎじゃない? そ、その…」


(照れてる…)


「可愛い…」


「へっ?」


ギュッ


私は思わずゆーすけさんに抱きついた。


「え? えぇ〜?!」


「ゆーすけさん、ちょーこのこと、キライ?」


あんまり驚かれて、私は少し傷付いた。


「あ、いや…」


「何してんだ、祐介!」


バシッ!


「何もしてねーよ!」


頭をたたかれたゆーすけさんがいさむさんにどなっている。


(何で?)


「いさむさん、ゆーすけさん、何もしてないよ?」


「だってこいつが…うわっ!」


私は、今度はいさむさんに抱きついた。


「ちょーこがね、ゆーすけさんにこうしただけなの、ね?」


「『ね?』って…」


いさむさんはものすごくオロオロしていた。


「蝶子!」


そんな私達を見て、夏樹さんが私を引っ張って抱きしめた。

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