《MUMEI》

突破で来たか…

ロングで来て欲しいとこなんだけど、そうそう思い通りにはいかないか。

「切り替えてけ〜!!」

赤高の攻撃。

外してもいい。
さっきみたいに攻撃の意思を見せつけろ。

椎名とユキヒロのクロス。
そこからのロングシュート。

またロングシュートだが、さっきとは違い椎名がディフェンスを押さえている。

さっきよりも余裕を持って打てる。

タイミングも歩数も自分の感覚で打てる。

今度はコントロールもいい。

右上の隅に打たれたボールは、

キーパーに反応されながらもゴールの中に吸い込まれた。

「やっと出たか…」

「ナイッシュー!!」

いい具合に乗ってきた。

相手の攻撃のテンポが早いだけに時間もまだだいぶ残っている。

4対1。

この時まだ6分しか経っていなかった。

(点差はあるが、まだまだ追い付ける。)

クロもコートに立つ者も同じ気持ちであった…

しかし…

「リスタート来てる!!」

「!?」

赤高がシュートを決め、ディフェンスに戻っている途中に聖龍高校は攻めて来ていた。

「早っ!!」

クロもスコアを確認していたため気付いていなかった。

初得点に浮かれていた選手たちも、審判の笛に気付くのが遅れた。

唯一気付いたのはキーパーの村木であったが、叫んだ時には遅く…

さらに点を重ねられる。

5対1。

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