《MUMEI》

私は、赤くなっていた顔が一気に青くなった。


「ごめんね」


「い、いえ」


麗子さんは、悪くない。


ただ、正直に話しただけなのだ。


私の、…失態を。


祐介さんに抱きついてから、皆に挨拶して、帰るまで…全て。


「俊彦、怒ってました?」

「ごめんね。よくわからないの。びっくりはしてたけど」


「…そうですか」


それから、麗子さんは『仕事があるから』と言って帰っていった。


私はチラッとカレンダーを見た。


今日は、火曜日。


いつもなら、夕方から次の日まで、俊彦と二人きりで過ごすのだが…


(行ってもいいのかな?)


俊彦が、怒っているかもしれないと思うと、気がすすまなかったが、会えないのはやっぱり寂しい。


私がそんな事を考えていると、俊彦からメールが来た。


『昨夜の事、覚えてる?』

私は、ギクリとしながらも、『ところどころは…』と打ち、『今日は行ってもいい?』と質問も入れて、送信した。


すぐに、俊彦から返信が来た。


私は、緊張しながらメールを開いた。


『オムライス食べたい』


(良かった)


好物を作れば許してくれるという意味だと思った。

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