《MUMEI》

何か…おかしい気がした。

私は、同じ量のカクテル…例えば、カルアミルクを飲んでも、こんな風に、熱くはならない。


(この感じは…)


「どうしたの?蝶子?
顔、赤いよ? もう、酔った?」


「ん〜、何か、…へん?」

ただ酔ったにしては、おかしい。


この感じは、昨日に似てる。


むしろ…昨日より、ひどい気がする。


「ごちそうさま」


「ごちそうサま」


ボンヤリする私の前にある食器も、俊彦が片付けてくれた。


(俊彦、やさしいなぁ…)


「蝶子、大丈夫?」


「ん〜」


俊彦が、隣に来た。


(え、と…やさしい人には、あ、そうだ)


私は、とし彦を、ギュッと抱きしめた。


「…何?」


「お礼」


すると、とし彦が、『足りないよ』と言い出した。


(そうだ…とし彦には、これじゃ、ダメだ)


私は、とし彦に、チューしてみた。


…思いきり、濃い、長いのを。


「…ッ…ハ…ハァ…」


「…」


とし彦は、まだ、黙っている。


(まだ、…足りない?)


私は、体が熱くなってきているのに。


「ねぇ、とし彦。ちょーこ、体、もう、あっついの」

ガタンッ

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