《MUMEI》

「合計、何回したか、覚えてる?」


(いっそもう忘れてしまいたい…)


翌朝俊彦の腕の中で目覚めた私は、恥ずかしくて真っ赤になった。


「ねぇ…何回?」


私は、泣きそうになりながら、『五回』と答えた。


ちなみに…内容は


台所で一回


風呂場で一回


脱衣所で一回


そして…ベッドで二回だった。


「正解! やっぱり『日本酒入りカクテル』だと覚えてるんだね!」


「ひどい…」


私は、思わず泣き出した。

「な、何で? 可愛かったよ! それに、俺達恋人同士じゃん!
俺だって、甘えん坊蝶子見たかったんだもん!」


「普段の私じゃダメなんだ…」


(あんな恥ずかしい私がいいんだ…)


そりゃ、私は今でも俊彦とする時恥ずかしがって、あんまり大胆ではないし…


声も我慢するし、すぐ『ヤダ』っていっちゃうし…


「えぇ?!何言ってんの? いつもの蝶子だって可愛いじゃん!」


「無理しなくていいよ…
これから、毎回あのカクテル飲めばいいんでしょ」


そしたら、どこだって、何回だって、俊彦の好きなだけできる。


「蝶子!」


「な、何よ!」


俊彦につられて私も大声になった。

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