《MUMEI》

「そりゃ、エロエロな甘えん坊蝶子も可愛いよ!

でも、いつもの蝶子だって可愛いだからね!」


「べ、別に無理しなくたって…キャッ!」


俊彦は私を仰向けにして、真剣な表情で見下ろしていた。


「…ヤダ」


私は、今でも明るい場所で裸を見られる事に抵抗を感じていて、胸や下半身を手で隠していた。


「そういう、…照れてる蝶子だって、可愛いんだよ」

俊彦は、そう言って私の額に唇を当てた。


「昨夜はちょっと、お仕置きというか…悪戯気分で悪ノリしただけで…
いつもの蝶子が嫌ってわけじゃ、無いからね」


「…信じられない」


私は思わず顔を背けた。


(あぁ、もう、ヤダなぁ)


たとえ酔っ払っていても、私にはかわりないのに。


まるで自分に嫉妬してるような複雑な気持ちになった。


「…もう、ヤダ。面倒な女だって…俊彦だってそう思うでしょ?」


「…何で?」


俊彦は、目を丸くした。


「何でって…」


「むしろ、俺の方が面倒で厄介だと思うけど?」


「そ…」


『そんな事無い』と言おうとしたが、今まで、俊彦にされた事を思い出し、私は無言になった。


(意外と、そうかも…)


「こら」

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