《MUMEI》 一時半――――――完全にハマってしまった。 一つ隠し事するだけだったのに。 何処からこんなことに? 七生に合わせる顔が無くて林の深い方へ探険する。 木陰が涼しい。 「――――先輩?」 「あれ、安西どうした?」 「先輩こそ。」 ……俺のことはいいから。 「なんか、申し訳無いです。」 突然、謝ってきた。 「どうして安西が!」 「だって、悲しそうな顔してるじゃないですか。」 平然と言う。 「……謝る意図は?」 「だって先輩、泣き顔見られたくないですよね。 俺、皆のトコ帰ります。」 安西は後ろ向いて視線を反らしてくれた。 ……いい奴だ。 「待って、そこにいて」 安西の背中の服の端を掴む。 目から涙が出っ放しで情けないけど、誰か近くにいて欲しかった。 前へ |次へ |
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