《MUMEI》

「あたしの手に握らされていた写真がこの頁のだよ。
見せてあげる機会を逃し続けてね……随分可哀相なことをしていたよ。」

二人で学生服を着て微笑んでいた。
バァさんは黙ってその写真を剥がした。

「……ジィさんと話してくる。」

写真に触れたとこから無性に、国雄の気持ちが流れ込んで来た。

「国雄、待って。
くーちゃんの本当の名前知らないよね?」

光に引き止められた。

「……国雄だよ。
多分、兄貴の名前だ。」

幹裕が言う。

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