《MUMEI》

(さすがは聖龍だね…)

リスタートの速さはチームの実力を表す。

もちろん一概にそうとは言えないが『強豪』と呼ばれるチームの中でもこれを行ってくるチームは特に強い。

県内最強である聖龍高校がこれを行ってくることは予想できたことであった。

これは完全にクロのミスだった。

「オッケー!!切り替えて行こう!!」

赤高にとってさっきの得点は初得点であった為、プレー中の聖龍高校ボールからのスタートは初めてであった。

『学んだ』

クロはそう気持ちを切り替えていた。

選手たちに言った『切り替えて行く』という言葉。

クロは自分にも言い聞かせていた。

「攻める姿勢忘れんな!!」

選手たちに気負いはなかった。

クロと同じ気持ちだったからだ。

「クロス!!」

椎名とユキヒロのクロス…

「またそれかよ。」

同じプレー。

そこに油断が生じる。

椎名とユキヒロのクロス…

ではなく…

「渡してない!!センターだ!!」

「え!?」

パスをしたと見せかけていながらの椎名の突破だった。

空いたスペースへ切り込む椎名。

反応が遅れたこともあり、シュートへ行ける。

ポスト位置からのシュート。

椎名がユキヒロに続き得点した。

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