《MUMEI》
乙矢14歳
「誕生日おめでとう」

二郎が満点の笑顔で出迎えてくれた。

クラッカーが耳鳴りを誘発させて火薬の臭いがそこかしこに分散する。

そうか、誕生日だ……。

クリスマスイベントで騒ぎ立てる人々で毎年忘れていた。


「毎年、ちゃんと祝ってないみたいだし。」

突然のお誕生会に驚いた。

――――そうか。

七生がまだ『言ってない』のは、二郎が勘付いているから必要無かっただけなのか。

つまりは、俺の口から言え……と。

二郎は信頼の証として今日誕生日を祝うのか。

多分、二郎も俺も貫き通せと無意識に思っている。

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