《MUMEI》
携帯電話
一週間続いた、中間試験が終わり、私たちは学校近くのファーストフードで、久しぶりの開放感を楽しんでいた。

「やっと終わったねぇ。」
ストローをくわえながら、光は呟いた。

「何言ってんの?光はこれからすぐ推薦入試でしょ?本番はそっちだから。」

私は母親みたいな口調で、言い返した。

「奏、お母さんみたい。」

百花は隣でくすくす笑っている。

「光はいいよな・・・スポーツ推薦が決まってて。」
意外にも杉田くんがそう言ったので、皆の視線が彼に集まった。

「え?ヤスなんか高校選び放題じゃん。」

光のコメントに私たちは頷いく。

「・・・この間、塾の模試で志望校がC判定だったんだ・・・。」

初耳という感じで、百花は見つめている。C判定というのは50パーセントの合格率ということらしい。

「杉田くん、そんな結果初めてじゃない?」
心配そうに百花は伺った。

「もうすぐ音楽会だろ?生徒会の仕事が忙しくて、なかなか勉強する時間がないんだ。」

心配かけまいと、おどけたように言うが、かなり参っている様子だった。

・・・最近は名波先生が忙しくて、ほとんど会話をしていなかったが、中間試験前に生徒会が大変なんだと言っていた。どうやらあの事件以来、成原さんが姿を見せないらしい・・・。

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