《MUMEI》
アドリブ2
『そういえばまだお名前聞いてなかったわね。聞かせてもらえる?』

『……あ、宝井大輔です』

『宝井くんね。私は冬馬の母です。似てるでしょう?』

確かに
どことなく
似てる
気がする。

顔だけじゃなく
優しそうな
雰囲気も
すごく似てる。

『宝井くんは…クラス代表でお見舞いに来てくれたのよね?』

『ハイ』

『じゃあ委員長か何かなの?』

『あ……いえ、オレは酒井くんとは仲良くさせてもらってて、それで』

慌てて
説明するオレを
見て、
冬馬のお母さんは
小さく笑った。

『?』

『ごめんなさいね。実は冬馬からあなたの話はたくさん聞かされていたから』

『……冬馬が?』

『今、一番の親友だって言ってたわ。なんとなくわかる気がしてね』

『そうですか……』

寂しそうに
笑いながら、
冬馬のお母さんは
息子の寝顔を
見つめた。

『それでね……』

冬馬のお母さんは
一冊のノートを
取り出した。

『これは?』

『冬馬の日記よ。親友の宝井くんには見て欲しいの』

『でも』

『いいから。……さあ冬馬が目覚める前に』

無理矢理
背中を押されて、
病室の外に
出された。

ノートを
持ったまま。

他人の日記を見る
なんて、
罪悪感がある。

親友のなら、
なおさら。

でもやっぱり
知りたい。

どうして自殺
なんかしたのか。

人のことは
大切にするくせに
自分はいいのかよ?

家に着いてから
ページをめくった。

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