《MUMEI》

母を目の前にして、
1秒は永遠の様に長く感じた。


全ての感情が交錯し、
このまま時間が止まればと思った。


住職の声が静寂を際立たせ、
参列者達の慟哭が現実を呼び覚まし続けていく。


一般参列者の流れは途絶えず、
中には顔見知りの母の友人の姿もあった。


焼香を終えた参列者達が、一礼をして去っていく。


オレは全ての人を忘れない様に、記憶に焼き付かせた。


母の為に来てくれたのだから。

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