《MUMEI》

「…」


(う…)


高校生らしき女の子達は、目を丸くしていた。


(やっぱり、無理があるよ〜)


内心泣きそうになりながらも、『どうぞこちらへ』とテーブル席に案内した。


その後も、ママさんバレーの団体や、女子中学生達が来店し、店内はすぐに満席になった。


今日は祝日なので、いつものサラリーマン向けのボリューム重視のランチではなく、女性向けの、ヘルシーな豆腐ハンバーグをメインにした、見た目にもこだわったランチになっていた。

もちろん、『シューズクラブ』で出しているのと同じイチゴのショートケーキも、『本日のケーキセット』として、売っていた。


…というか、今日の『クローバー』のメニューはその二つしか無かった。


(歩きづらいな)


いくら俊彦が選んで、サイズはぴったりでも、厚底のローファーはスニーカーよりは歩きづらかった。


私は、いつもより慎重に歩きながら、最初に来店した女子高生達のテーブルにランチを運んだ。


「お待たせ致しました。お嬢様方は、さっぱりおろしポン酢と、甘辛ソースのどちらがお好みでしょうか?」


私は、咲子さんのマニュアル通りに質問した。


「じゃあ、ポン酢で」×4

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