《MUMEI》

「かしこまりました」


私は深々とお辞儀をしてから、量を確認しながら、おろしポン酢を豆腐ハンバーグにかけた。


「それでは、失礼致します。ごゆっくりお過ごし下さいませ。

何かございましたら、机の呼び鈴を鳴らして私をお呼び下さい。

すぐに参ります」


(ふ〜)


私は何とかマニュアル通りのセリフをかまずに言うことが出来て、ホッとしていた。


「あの…」


「はい」


四人の中で、一番おとなしそうな女の子が私に声をかけてきた。


「どうかされましたか?お嬢様」


(やっぱり、何か変だったかな?)


今日の私の服装も、言動もツッコミどころは満載なので、私は内心緊張していた。


すると、女の子はもじもじと、照れながら、思いがけない言葉を口にした。


『後で、写真撮らせてもらっていいですか?』


ーと。


私は、自分では判断できなかったので、『少々お待ち下さい』と言って、咲子さんに相談した。


咲子さんは、『一人、一枚まで』という条件付きで、写真撮影を許可した。


その事を、『お嬢様』に伝えると、ものすごく喜ばれた。


そして、他の『お嬢様』も

違うテーブルの『お嬢様』も、…

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