《MUMEI》

携帯灰皿を取り出しタバコをもみ消すと、霧が濃くなり、視界が10メートル位になってきた。

牛も何かを察知したのか、自然と離れていった。
「雨、降るかもよ!」
「ホントだ、真っ白になってきたね。急いで降りる?」

「嫌、この霧じゃあ、逆に危ないから様子みた方がええよ」

「あっ、そうやね、前が見えんよね」

「そこで飯たべる?」
そう言って側のレストランで昼飯を食べる事にした。

屋根が無いので木の下にバイクを停めて中に入った。

ここは、入口のカウンターでメニューを決めて先払い方式のようだ。
メニューは割と豊富だが、こう言う所は割高感がある。
少し肌寒かったので、俺はカツカレーを頼んだ。
「あたしも〜」
そう言って彼女もカツカレーを頼んだ。

窓際の席に着くと、小雨が降ってきた。
辺りは霧か雲か判らない状況になっていた。

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