《MUMEI》

「――――――迷惑だ」

よく見ておけ、七生。これで満足か?

「乙矢?」

二郎の縋るような目付きが脳裏に焼き付いていた。

「俺は二郎が思うような聖人じゃない。
友人の彼女を横取りするくらい訳無いことだ。」

にや、と笑って見せた。

「変だよ……」

二郎は理解出来ていない。

「優しく言わなきゃ分からないかい?もう、お友達ごっこはおしまいだ。」

楽しいパーティーから現実に叩き落とす。

「二郎だって薄々気付いているだろ!」

七生が後押しする。

「きっと、俺達会っちゃいけなかったんだ。」

あの時、好きにならなければ――――。

「何でそんな事言うの……?」

泣いてしまうかもしれない。でも、七生がいるじゃないか。

「目障りだからだよ」

決まってるだろう、そんなの二郎が好きだからだ。

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