《MUMEI》 「「それでこそ、蝶子ちゃんだよな」」 赤くなる顔を押さえている私を見て、祐介さんと勇さんがしみじみ言った。 (そうだった…) 私は、二人に抱きついた事をまだ謝っていなかった。 「あの、すみませんでした。その、花見の時の」 「「ああ、いいよ」」 二人は笑顔だった。 「いいよな〜 イテテテ!」 ポツリと言った春樹さんの耳を隣にいた瞳さんが引っ張った。 「…」 「な、何も思ってないぞ」 無言で見上げる薫子さんを見て、克也さんは慌てていた。 「「もう、しっかりしてよね!」」 瞳さんと薫子さんはそれぞれの夫の背中をバシッと叩いた。 そして、瞳さんと薫子さんは『どうする?』と顔を見合わせた後、咲子さんを呼んだ。 ? 「「一応、俊彦、あんな馬鹿でも私達と同期だし… 仲間だし」」 「そうねぇ…」 「「雅彦達はともかく、俊彦は、後から知ったら文句言いそうだし…」」 「そうよねぇ…」 (何の話だろう?) 三人は、しばらく考え込んでいた。 そんな三人を、特に春樹さんと克也さんは気にしているようだった。 前へ |次へ |
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