《MUMEI》

不思議と雨は降っているが、空はかなり明るい。
多分、通り雨だろう。
待つ間に、俺は気になっていた事を聞いてみた。

「このバイク、お父さんのお下がりって事は、お父さんは買い換えたん?」

「うん、K1200S」

「マジ!?すっげー、あれって200万越えるよねぇ?」

「う〜ん?良く判んないけど…お兄ちゃんも「隼」乗ってるし、うちはバイクだらけ(笑)」

「凄いねぇ…」

「お待たせしました」ちょうどカツカレーが運ばれてきた。

実は、インスタントを想像してたのだが、カツも厚みがあり、想像以上においしかった。

食べ終わり、暫くすると、雨も上がり、霧も晴れてきた。
裏庭に行くと、一本の線が引いてあり、それが『愛媛県』と『高知県』の県境になっている。
その線はトイレに向かっていて、トイレの中も県境になっている。
何とも貴重な体験をさせてもらった。

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