《MUMEI》

暫く景色を眺めていると雨も上がってきた。
時計を見ると3時を過ぎている。
「じゃあ、そろそろ降りる?」

「うん…これからどうするんですか?」

「あっ、そうか!?この先全然考えてなかった(笑)」

俺は地図を取り出した。目的地も決まってないし、暗くなる前に泊まる所を探さないといけない。
2時間位で行ける所を探すと『松山市』がある。
『道後温泉が有名な街だ。
地図に載っているお薦めのホテルに電話して予約を取った。

彼女は『香川県』から来ていて、『松山』から高速道路を使って帰ると言う事で、一緒に『松山』を目指した。

1時間程で街らしくなってきたが、雨が降ってきたので、通りに面したデパートの駐車場に入った。
4階建ての駐車場になっていて、雨を凌ぐのにちょうど良い。
地図を見ると『道後温泉』迄もう少しだ。

「あ〜、どうしょう…これじゃあ帰れんじゃん…」

彼女もレインウェアを持っていないらしい。
この時期は、朝夕冷えるので、濡れながら走るのは辛い。
取り敢えず中で様子を見る事にした。

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