《MUMEI》
初めての。
壁を背にしながらベッドに座ってテレビを見ていると、膝を立てた足の間にかなたが座ってきた。

「…おい///」
「なぁに?」

かなたは俺にソファーのクッションか何かのようにもたれかかりながら、パクパクとお菓子を食べている。

「さっき夕飯食べたろ…」
「それとコレは別腹なのっ///」

しかも着ている寝巻きはクリーム色で可愛い柄が入ってて…あれ、コレ女物じゃねぇか?

長めな上着だったんで下を履いてるかどうか分からなかったから裾をペロンとめくると、ちゃんと短パンを履いていた。

「やっ///」

かなたが恥ずかしそうに裾を閉じる。

「おぉ…ゴメン///」

あれ…何で俺、謝ったんだよ…コイツと俺、男同士なのに…///


一緒にキャラメルコーンを食べながらテレビを見ていると、ふと、かなたが下に置いていた本を手に取った。

ペラペラとページをめくっている様子を眺めていたら、急にパタンとその本を閉じ俺の方をまん丸な目で見つめてきた。

「何だよ…初めて見たみたいな顔しやがって…」

かなたが手に取ったのはいつも使ってるエロ本。

それを開いてかなたに見せると、今度はじーっとそれを見つめていた。

(面白れぇ…)

かなたの反応が面白くて次々にページをめくって見せると、目をまん丸にして見入っている。

(女みてぇな奴だけどやっぱ男だから興味あるんだろうな)

じーっとその本を食い入るように見つめていたかなたが、あるページを指さして俺の方を見てきた。

「武はこういうの…好きなの?」

かなたが指さしたのは溢れんばかりの大きなおっぱい。

「別に…そうでもねぇよ」

そう聞くとかなたは「ふぅん…」と言って次のページをめくってった。

「コレは?」

次に指さしたのは小さな胸に肌けたフリフリワンピースの、いわゆるロリコン風な写真。

「…ちげぇよ」

本に視線を戻しながら首を傾げている、何が目的なんだ…コイツは。

普通の雑誌を眺めるようにページをめくりながら、あるページで手が止まった。

「武は…どういうのがいい///」

そう言ってかなたが指さしたのは、男と女の…いわゆる色んな体位の写真が載っていたページだった。

「…何なんだよさっきっから!俺にしか質問してねぇじゃんか…逆に聞くけどよ…お前はどういうのが好きなんだ?」

そう言ってかなたに質問を返すと、頬を赤く染めて俺から視線を逸らした。

「どれでも…いい///」
「どれでもじゃねぇよ、何かあるだろ〜♪」

腕をグイグイと引っ張ってかなたをからかっていると、頬を真っ赤にさせ体育座りのように膝を抱えて押し黙ってしまった。

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