《MUMEI》 葛原真〜司・優香side〜司は届いたメールを読み上げる。 優香はそれを固唾を飲んで静かに聞く。 「埋葬してくれるんだ? 嬉しいな…。 私は中央墓地の土の中。 それと一つ。ご褒美にいい事を教えてあげる… 葛原真は私の愛しい…愛しい…裏切り者…。」 「ね、ねぇ…ちょっとやだ、何この人…。まるで自分が原田美和子みたいな言い方‥」 「気味悪ぃな…。」 読み終えた二人はお互い顔を見合わせる。 まさか死人がメールなど送れるはずがない。 だがこの書き方は、優香の言う通り、さも自分が原田美和子であるかの様。 「ただの悪ふざけだろ。元々コイツはイカれてんだから…」 「う、うん。そうだね…」 優香の不安を紛らわす為の気遣いではない。 ネットの向こう側の見えない相手に抱く恐怖感を拭い去る為、司は自分に言い聞かせていたのだ。 「とにかく、墓の場所はわかった。中央墓地か…案外近いな。ここなら自転車で行ける。 それはいいとして…この葛原真って誰だ?」 二人には聞き覚えのない名前だったが、これだけはわかった。 「裏切り者って事は、恐らくコイツが原田美和子を殺した犯人だろう…。」 ―♪♪♪♪♪― 司の携帯が鳴りだしたのは、そんな時だった。 前へ |次へ |
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