《MUMEI》

私達は寄り添うようにして、目を閉じた。





「と…」


「言わないで」


「で、でも…」


「今日は俺はエロエロ封印したんだから」


(そんな事言ったって…)


私の足に当たる固い感触は、確かに、…


「私、…離れようか?」


「いや、多分、…一緒だから、無視して」


俊彦はずっと目を閉じたままだった。





数分後。


『ちょっとトイレ』と言って起き上がった俊彦の腕を、私は掴んだ。


「…蝶子?」


「…で、…なら……よ」


「いや、…でも…今日は…」


私の申し出に、俊彦は戸惑っていた。


「俊彦に、元気もらった、から…」


「…」


俊彦は、かなり悩んでから、『…お願いします』と頭を下げた。


私は、頷いて、ムクリと起き上がった。


俊彦は、少し申し訳なさそうに、下着を下ろした。


「別に、正座しなくても…」


「いや、あの、何となくしたい気分なんで…気にしないで下さい。

あぁ、もう、何か、かっこ悪いなあ、俺…」


(別にそんな事は無いと思うけど…)


私はうつ向き加減な俊彦の正面に移動した。


…本人はうつ向いているが、そこだけは上昇していた。

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