《MUMEI》

光二おじさんの目が、鋭く光った。


「俺から姉さんを奪っておいて、忘れて楽しそうに毎日を生きていたね。

それでも、姉さんは蝶子ちゃんを憎んではいなかったし、俺にも『蝶子の味方でいてやって』と頼んだから、そうしようと思った。

でも…

苦しいんだ。

大人になった君なら、わかるだろう?」


私は、どう答えていいかわからなかった。


かわりに私は、『それより、どうしてここにいるんですか?』と質問した。


光二おじさんは笑い出した。


そして、『君が教えてくれたんだ。辛いときや悲しいときはこの公園に来るって』と答えた。


「思い出した今でも、彼と…俊彦君と幸せになりたいのかい?

姉さんの、未来を奪っておいて」


何も言えない私に、光二おじさんは話し続ける。


「君は、あいつに似てるとこがあるし、姉さんのかわりとしては、役不足だけど、…でも、山田家のものになるべきだ。

あいつは、もう姉さんのかわりに新しい女も、子供もいる。

俺には、姉さんのかわりがいない。

だから…来るんだ。一緒に」


光二おじさんの言葉が、私の動揺していた心の隙間に入り込んでいく。


「それが、君の償いだ」

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