《MUMEI》
制裁
「違うね」


(えっ…?)


光二おじさんが差し出す手に、私が手を伸ばそうとした瞬間、体が後ろに引っ張られた。


「と…し、彦?」


「勝手に飛んでくなよ」


見上げた私と目が合った俊彦は、苦しいくらいに私を抱き締めた。


「いい度胸だね、オッサン。ここをどこだと思ってんの?」


和馬がそう言うと、商店街の、妊婦と雅彦を除いたいつものメンバーが公園に入ってきた。


公園の電気は一つしかないから、公園の外の暗闇に潜んでいたのだと、春樹さんが説明した。


「何だ? ただの田舎の商店街だろう?」


「あれ、オッサン、テレビ観なかったの? ここ、何の舞台だか…知ってる?」


和馬が凄味を利かせた口調で光二おじさんに近付き、質問した。


光二おじさんの顔が真っ青になった。


その様子を見て、周囲はクスリと不気味な笑みを浮かべた。


「安心しろ。靴紐で首は絞めないから」


「そうそう。もっとうまくやるわよね、私達は」


孝太と麗子さんが近付くと、光二おじさんの顔がひきつった。


孝太が『おい』と言うと、何故か勇さんがやってきた。


「はじめまして。蕎麦屋の息子の勇です」

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