《MUMEI》

「そ、そそば、だと?」


勇さんは満面の笑みで『はい』と答えた。


首を傾げる私の頭の上から、俊彦は楽しそうに言った。


「蕎麦アレルギーの光二おじさんの為に、とっておきのプレゼントを用意しました。

召し上がって下さい」


「や、やめろ!」


克也さんが暴れる光二おじさんの体を押さえた。


「は〜い、お待たせ!蕎麦饅頭で〜す!」


愛理さんが笑顔で饅頭の入った箱を持ってきた。


(あれ? あれって…)


「駄目だよ、蝶子。制裁の邪魔しちゃ」


質問しようとした私の口を、俊彦が手で塞いだ。


「そうそう」


夏樹さんは、私に近付き『黙ってて』と小声で言った。


「そ、そんなに食わせる気か?」


「どう思う?勇?」

「う〜ん、下手したら、死ぬかもな〜」


勇さんと祐介さんのやりとりを聞いて、光二おじさんは悲鳴を上げた。


「まぁ、待て。一応、蝶子ちゃんの身内だし。

一個にしてやろう。

ていうか、実は、一個しか、蕎麦饅頭入って無いんですよ」


「そ、そうなのか?」


春樹さんの言葉に、光二おじさんはホッとしていた。

「えぇ。中身がつぶあんなら、大丈夫ですよ。さぁ、どうぞ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫