《MUMEI》

中に入りカーテンを閉めると彼女は慣れた手つきで操作していく。
やはり若い子は違う。今まで何回撮ったのだろうか。

俺は彼女任せで待っていると
「はい!撮るよ!」

俺は、画面に映る自分を見て
「ちょ!ちょっと待って!」
俺は濡れた頭でヘルメットをかぶっていたので、髪がペッタンコになっていた。

手グシで髪を整え
「よし、こんなもんかな?」

「じゃあ、撮るよ
イェーイ」

撮り終えると彼女はタッチペンを持って色々と描き始めた。

覗こうとすると追い出され、
「次、これ!!」
その後プリクラのハシゴにつき合わされた。
段々とエスカレートして、首にしがみついたり、最後には、ほっぺたにキスされた写真まで撮られた。

これじゃあ、まるで恋人同士の様だ。
だが、悪い気もしなかった。

そして、彼女は
「お願いがあるんたけど」
と、上目使いで首を傾げて両手を合わせた。

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