《MUMEI》 俊のすべて「―――っ……由…自、頼むから……」 「だから、な・ん・で?」 銀の糸が由自の口から垂れて光っている。 由自の思うがままにされるオレは、抵抗したくても力が入らない。 「ああああっ!」 「俊?」 「早く離れてくれっ………もう…出るうっ」 由自がきょとんとした。 そしてすぐに笑い出した。 「何?まさかそれだけでやめろって言ってた訳?」 「それだけって……全然大問題なんだよ!」 ごめん、ごめんと由自は笑った。 「そういやこういう経験ないんだったよな。無理に言わせてごめん」 「うん………」 「えっちの時、俊には鳴き声しか言わせないことにするよ」 「え」 由自はまた愛撫を始めた。 謝ってくれたから、もう終わりにしてくれるんだと思ったのに。 「由自!」 「……いいよ。俊の全部出してよ。オレが受けとめるからさ」 「………でも」 「オレは俊のすべてが欲しい」 オレは身体の力を抜いた。身体の素直な反応にもう抵抗はしない。 ――ピシャッ 勢いが強過ぎて、由自の口から飛び出し、由自の美しい顔にかかる。 由自が舌で口の周りのオレのすべての一部を舐め、ごくりと飲み干した。 「……お疲れ、俊」 そう言ってオレのほほに軽くキスをし、オレたちはようやく眠りについたのだった。 前へ |次へ |
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