《MUMEI》

「……見付かった!」

太郎兄はどうやら香水の瓶の唯一砕けなかった蓋の細工が残されていたのを見付けたようだ。

久しぶりの姉貴は疲労で顔が痩せこけているように見える。

元、族のメンバーで彼氏だった男に拘束されていたそうだ。

俺は姉貴の友人が太郎兄に気があることを知っていた……。
その友人には少々荒々しい元、姉貴の彼氏だった男がいたことも。
お陰で姉貴の友人が卑しい誘い方をするという余計なことも知ってしまったし、あの元彼氏は俺を姉貴の浮気相手と間違える程嫉妬深いことも。
だから姉貴は太郎兄には頑なに隠していた。

姉貴はすぐ情に流されるから、危ないトコを切り捨てられなかったのだろう。



総長のくせに、徹底して弱者に甘いのだ。

泣き付かれ、拾ってしまったのだろう。
馬鹿だな。

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