《MUMEI》

次の日の放課後。
私は、成原さんのことが気になっていた・・・。

「百花・・・。昨日のこと、先生に話した方がいいと思うんだ。」

「昨日の?あぁ・・・うん。そうだね。」

百花は一瞬難しい顔をしたが、頷いてくれた。


テストの採点期間中は職員室には入れない。ドア付近でキョロキョロ探すが、名波先生の姿はなかった。近くにいる先生に居場所を聞くと、理科室にいると教えてくれた。

私は、理科室のドアをガラリと開けた。

「先生・・・。」

廊下側に背中を向け、座って採点をしている。

「おっ、何? 」

振り返ると、いつもの笑顔だった。私は胸がキュンとなったが、隣に百花がいることに気付くと、先生は少し真面目な顔になった。

百花は私に聞こえるか聞こえないかの声で、『あやしいな』と言った。

私は聞こえなかったふりをして、先生に話しかける。
「成原さんが、悪い先輩と話してて・・・。」

「成原が、悪い先輩?」

先生は意味が良くわからないというふうに、首を傾げた。すかさず、百花が解りやすく、説明する。

「先生、覚えてますか?あの蓮見先輩・・・。なんか今もすごく悪いことしてるって。」

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