《MUMEI》

「蝶子がこうやって、近くにいなかったら、俺は、不幸になるから」


俊彦は、私の浴衣を脱がしていく。


「俺を不幸にしないで」


耳元で熱っぽく囁かれ、私は頷く。


そして、優しく優しく私の体を愛撫していく。


「離れないで」


「ンッ…アッ…」


俊彦と私が繋がる。


「何も考えないで、俺だけ、見てればいい」


「…ッ…アッ…アッ!」


俊彦の激しい動きに、私は声が抑えきれなくなる。


俊彦の顔、腕…流れる汗、胸元…


言われるまでもなく、私は俊彦の事しか考えられなくなっていた。


「わかっ…た?」


「ンッ…」


私が発した声は、一番奥に入ってきた快感からなのか、返事なのかわからず…

翌朝。


もう一度、俊彦に『わかった?』と囁かれ、私はボンヤリしながら頷いた。


その日、一日私は咲子さんの厚意で仕事を休む事ができたので、ずっと俊彦のベッドで眠っていた。


俊彦は仕事だったので、時々私の寝顔を見にきたと言っていたが、私は全く気付かず、夕方まで眠った。


そして、俊彦に送ってもらった後、私は風呂に入り、また眠った。


(人間て、こんなに寝れるんだ)


その位、眠っていた。

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