《MUMEI》

「こっちの方が可愛いと思うよ(笑)」
俺は彼女の肩を抱いて指差した。

彼女は少し驚いた後、俺の手を握り、
「じゃあ、これにするっ」そう言って笑った。

レジに行き、財布を出す彼女の手を押さえ、俺が支払った。
「えっ!?」

「いいから」

商品を受け取ると、ホールのベンチに座り、「ごめん…俺、あんな所、入った事なかったし、恥ずかしくて…」

「ううん…あたしの方こそごめんなさい…
ありがとう(笑)」

「ううん、ちょっと酷かったかなって…そのお詫び(笑)」

その後、外に出てみたが、雨は降り続いていた。

インフォメーションに、バイクを置かせて貰えるようお願いすると、『盗難の保障は出来ない、明日の朝9時迄は出せない事』、を条件に置かせて貰える事になった。

入口には常時タクシーが待機しており、荷物を持って予約したホテルに向かった。

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