《MUMEI》

このホテルは、色々とテナントが入っていて、食事だけでも利用出来るタイプのホテルだ。

チェックインまで少し時間があったので、彼女は買った下着を洗いたいと言って、屋上のコインランドリーで洗濯をしていた。

「こんなに自由に出入りできるんやね」彼女は不思議そうに言った。

「食事出来る所は大体こんな感じやろ?ロビーを待ち合わせ場所に使ったりもするよ」

「そうなん?泊まらん人は入ったらダメやと思ってた」

「こうゆう所は1人幾らって掛かるけど、1人の振りして何人かで忍び込んだら安上がりやろ?ちょっとセコいけど『裏ワザ』使ったりもしてたし(笑)」

「うわぁ、ひど〜い」
「あはは、でも、やっとる人多いと思うよ(笑)」

「うそ〜」

「じゃあ、俺の部屋に忍び込んでみる?」

「ええっ!?…本当に大丈夫なん?」

「もし、バレたら、ゴメン、ってお金払えばええじゃん(笑)」

「うん(笑)」

「じゃあ、俺、カギ貰って来るから待っといて」


フロントでチェックインすると、「8階の右側になります」と言ってカギを渡された。
屋上に向かい、洗濯が終わると、一緒に部屋に向かった。

誰に会うでもなく、難なく部屋に入れた。

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