《MUMEI》

先生は難しい顔をして
「あぁ、売春のあっせんなんかをしてるらしいな。」と答えた。

私は驚いて絶句した。

まさか、成原さんがそんなこと・・・
「じゃあ、成原さん危ないですね。」

百花は冷静に言ったが、私はなかなか状況が飲み込めなかった。

「分かった。成原の担任には俺から話しておくから。おまえら、あんまり首突っ込むなよ。」

「ちゃんと、念押してください。奏、昨日も成原さんを止めようとしてて。」

「・・・。」
止めようとはしてないけれど、百花がいなかったら声はかけていたかもしれない。

「広崎・・・お願いだから、危ないことしないでな。」
先生は困った顔で私を見ている。

「そうだよ。奏は携帯持ってないし、いざという時、連絡つかないんだから。」
百花はさらに続けた。
「あ、もうすぐ誕生日だから、買ってもらえば?」

明らかに、アピールしてくれているのが分かる。確かに先生は私の誕生日なんか知らないかもしれない。ありがたいような、困ったような・・・どんな顔をして良いか、分からずチラリと横目で先生を見た。

「あ、そういえば光に話しがあるんだった。奏、先に行ってるね。先生さようなら・・・」

言い逃げをして、去って行った。

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