《MUMEI》
日高視点
――訳が…分からなかった。
俺は巨乳AVアイドル女優、ハルカちゃんを抱きしめていた。
もうすぐ唇と唇がくっつくかな〜と思ったところで、俺は叩き起こされた…
――訂正。
叩き落とされた。
うすっとぼけた頭を緩く振り、俺は目の前に存在する光景を…
見てしまった。
――佐伯と長沢がキスして…いる……?
――否、されている。
腰と背中を抱かれながら佐伯は長沢の胸をガンガン叩いている。
すると唇が一瞬離れたが又角度を変え塞がれてしまった。
「――んっ、ンん、クチュ…チュク……」
次第に佐伯の抵抗が無くなり、腕がダランと下に降りた。
すると長沢は漸くキスを止め、あろう事か佐伯のシャツに手を差し入れ、首筋に唇を押しあてた。
「アハアッ…、――はぁ…、ヒン…、アン……」
シャツの中で小刻みに長沢の手が動いている。
佐伯はすっかり力を奪われた様に長沢の腕に支えられていて…
長沢はチュッと首筋にキスをすると佐伯を抱き抱えながらベッドに移動した。
シャツをたくし上げ小さな乳首に吸い付く長沢。
そんな長沢の頭を抱きしめる佐伯。
ピチャピチャ舐める音と佐伯の甘い吐息が俺の頭にふわふわと浸透してくる…。
――えーっと…
俺は一体どうすれば…
中学時代ダチの部屋でダチと女がヤっているのを見た事がある。
まあ、あの時は俺が寝ている隙を狙った行動だったけど。
あの時は必死に寝てるフリしてたっけ…。
しかし今は違う。明らかに俺は起きてるし、しかも男同士。
あっという間に佐伯は全裸にされてしまった。
「―――日高…」
「は、はいっ!!」
長沢は上体を起こし俺を見てきた。
凄く申し訳なさそうに
「ワリイけど…、二人にしてくんない?聖ちゃんの可愛い声他の奴に聞かせたくねーんだ」
何故だか左頬が真っ赤に腫れていて…、そうだ、さっき佐伯に殴られたんだっけ。
そして直ぐに佐伯にキスして…今の状況に至っている。
「――――――」
俺は幽霊みたいにふわふわ立ち上がり、部屋を出た。
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