《MUMEI》

そして、今年の彦星は、やこちゃんと『お似合い』な年頃の男の子だったようなのだ。


「娘には幸せになってほしいけど、いつまでも、自分だけの可愛い娘でいてほしいんだよ。

和馬君は、やこちゃんにとって『アイドル』だったけど、今度はリアルに『彼氏候補』だからね。

可愛い娘を持つ父親は本当に大変だよ。

…雅君が羨ましいよ」


「何で、雅彦?」


私の質問に、父は、『しまった』という顔をした。


どうやら、結子さんに、口止めされていたらしい。


父は、『内緒だよ?』と言って、雅彦と結子さんの子供が男の子だと教えてくれた。


そして、『じゃあ、今度は夏に』と言って出ていこうとした。


(そういえば…)


私は『待って』と言って父を引き止めた。


そして


「山田家の人達は、おじいちゃんとおばあちゃんには、何て言ったの?」


と質問した。


光二おじさんはともかく、祖父母と父のやりとりは、気になったから。


「…大丈夫。『二度と蝶子に関わらないで下さい』って言ってきたからね」


「…」


祖父母は、私と俊彦の結婚に反対している、…厳しい人達だけど…


(いいのかな? これで?)

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