《MUMEI》
遺伝
結子さんは、周囲が驚くほど安産で、私にも、商店街の皆にも、結子さんから赤ちゃんの写メが、生まれたその日に送られてきた。


雅彦は、病院から連絡が来てすぐに行ったのに、出産に間に合わなかったので、残念そうだった。


生まれた赤ちゃんは、『良彦(よしひこ)』と名付けられ、皆は『良君』と呼んでいた。


良君は、『見た目は雅彦にそっくりだ』と、村居のおじさん・おばさんや、結子さんの両親を含めた『引退組』は口を揃えて言っていた。


そして、皆、『でもね〜』と口を揃えて続けた。


ちなみに、それは、商店街の現役…いつものメンバーも、雅彦も結子さんも感じている事だった。


この日。


『シューズクラブ』の定休日に、俊彦と私は細木家を訪れたのだが…


私の腕の中で安心している良君を見て、結子さんは、しみじみと言った。


『本当に、良君は、俊彦おじちゃんにそっくりですね〜』


ーと。


俊彦は、すかさず『おじちゃんはやめろよ』と言った。


ちなみに、俊彦は、周囲に『おじちゃん』・『おじさん』と執拗に呼ばれ、からかわれていて、最近うんざりしていた。


「じゃあ、私に『義兄さん』って呼ばれたい?」

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