《MUMEI》

隣で『そうね』と微笑む結子さんも、『妻』で『母親』の顔をしていた。


(もう、夫婦で親子なのよね…)


私はしみじみと三人を見つめた。


それから、私は台所を借りて、昼食を作った。


昼食は、同居している結子さんの両親も一緒に食べた。


昼間良君の世話は、結子さんの母親がみてくれるので、結子さんはお盆明けから『マリオネット』で再び働き始める事になっていた。

ちなみに、結子さんが『マリオネット』に出れない間は、元店長の結子さんの母親が、営業時間を短縮し、店を開けていた。


『こういう時は、同居は便利よね』と、結子さんは笑った。


そして、『実の親子だから、嫁姑問題も無いし、妊娠中もフォローしてもらえたし』と続けた。


それは、瞳さんと薫子さんにも言える事だった。


瞳さんは、つわりも経過も『人並み』で、薫子さんのつわりは『人並み以上』で、辛そうな時期もあったらしいが、実の母親が常に近くで支えてくれたので、二人とも安定期に入った今は落ち着いていた。


「そっちは他人でも問題無さそうだけど…同居するの?」


「それは…」


結子さんの質問に私が俊彦を見ると、俊彦は首を横に振った。

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