《MUMEI》

「俊彦、蝶子から離れてみて」


俊彦が『何で?』と言うと、結子さんは『いいから』と少し強い口調で言った。

渋々俊彦が私から離れる。

それを見た途端に、良君は…


泣き止んだ。


「蝶子がおじさんにいじめられてると思ったのかな〜?」


結子さんは、良君を私に渡した。


私が良君を抱きしめると、良君はまた私の胸をぺたぺたと触り始めた。


「あ、赤ん坊だからって…」


怒りに震える俊彦を、周囲が『まぁまぁ』と言ってなだめた。


「お前だって、お気に入りの女にはこうだったぞ」


「そうそう。今は胸だけど、そのうち足を触るようになったし…

はいはいできるようになったら、足の綺麗な女のところばかり行ってたわよ」


結子さんの両親の言葉に、私と俊彦は驚き、結子さんと雅彦は、『そうなったら、嫌だなぁ…』と呟いた。

「まぁ、雅彦は例外だけど、村居家は基本『女好き・足好き』家系だし…遺伝だろ?」


結子さんの父親の言葉に、周囲はますます複雑な表情で、私の腕の中にいる良君を見つめていた。


(甥っ子で、これなら…子供はどうなるかな?)


私も複雑な気持ちで良君と隣の俊彦を見つめた。

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