《MUMEI》

パス回し。


そしてユキヒロの1対1からのずらし。


そしてサイドシュート。


「バシッ!!」


止められた。


「ルーズボール!!」


弾かれたボールを、聖龍高校が取る。


「戻れ〜!!」


全員わかっていた。


しかし、シュートを打った左サイドはどうしても戻りが遅れる。


「3番だ!!」


村木の声も虚しく…


空いた右サイドに速攻を…


「ナイッシュー!!」


決められた。


前半10分。


6対2。


止まっていたスコアがようやく動き出す。


「タイムアウトお願いします。」


クロがオフィシャルに言った。


「え?」


通常。


練習試合でタイムアウトを取ることはない。


しかし、現役選手のクロは『練習試合ではタイムアウトを取らない。』ということに不満を感じていた。


(意味わかんね〜もん。)


クロが高校生の頃から不満に感じていた常識を…


ぶっ壊す。


「ピー!!タイムアウト!!」


「?練習試合でタイムアウト?」


味方チームも敵チームも驚いた様子だった。


「ふん。あのコーチ面白いな。」


聖龍高校の監督に鼻で笑われた。


(知るか!!勝手に変なルール付けんなよな。)


クロは少し興奮していた。


悪い意味で。

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