《MUMEI》
玩具
最後に

ミルク入っていたグラスを

コトン

とテーブルに置くと

ひなたは

「ごちそうさま〜」

そう言って

椅子から

立ち上がる。

トコトコと

小走りに

リビングから

出て行くと

先程と同じように

愛らしい歩き方をしながら

戻って来た。

「何だ、それは?」

私が尋ねると

ひなたは

それを差し出してきた。

「あげるっ」

「?」

それは

小さな車の玩具。

「私にか‥?」

「うんっ。苺にあげるよ」

彼は

私の手に

その玩具を

そっと握らせた。

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