《MUMEI》

「そんなわけないじゃん!」


「うん…今は、わかってる…」


俊彦が更にきつく抱き締めてきたので、私は俊彦の背中に腕を回した。


「だから…俊彦も、信用、して?

私…

俊彦だけ…だから」


「う…」


「ね?」


俊彦は、ものすごく悩んでから…


『じゃあ、…身内は、…あと、…乳幼児は、大目にみてやる』と言った。


(まぁ、いいか、今はそれで)


私は『うん』と言って、笑った。


「そ、それじゃあ…続き、しよ?」


俊彦が甘えるような口調で言ってきた。


私は、『じゃあ…一回だけなら』と答えたのだが、俊彦にとっては『夕飯前は一回』だったらしく…


『赤岩』からとった出前のサラダうどんを食べた後に、…もう一回して、私は俊彦に車で送られて、日付が変わる直前に、工藤家に帰ってきた。


帰り際、ご機嫌な俊彦に、私は一つだけ文句を言った。


…出前に来た勇さんに、いかにも『今まで…してました』的な、腰にバスタオル一枚姿で俊彦が対応しようとしたから。


結局、私が俊彦を説得して洋服を着てもらったが、…あれだけはやめてほしいと本当に思った。


いくら公認でも、それは、恥ずかしいから。

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