《MUMEI》

「ふざけたプレーだな…」


何とでも言え。


実際僕の作戦にハマってんじゃん。


「…」


視線を感じる。


椎名だ。


「ぼーっとすんな。」


「あ。すいません。」


(クロさんって…ホントに凄いんだな。)


その後…


ロングシュートや突破で攻めてくる聖龍高校の攻撃を止め、赤高はゆっくりと…


確実とはいかなかったが、少しずつ点を重ねた。


「ブー!!」


前半終了のブザーが鳴る。


12対9。


点差を詰めてこそいなかったが、強豪聖龍高校にここまで食いつけるとは思っていなかった。


「ユキヒロが4点、椎名が2点、峰田が1点、沖が2点か…」


峰田は右45。
例の野球部出身者だ。
ロングシュートがたまたまいいコースへ。


沖はポスト。
椎名のパスから2点得点。


「両サイドが0か…」


「すいません…」


「しょげんな。サイドの仕事は点を取ることじゃないし、相手に速攻出されないのはお前たちが走ってるからだ。」


「はい!!」


「って言ってみたけど、最初に相手よりもシュートを打てって言ったよな?後半ガンガン打ってこい。」


「はい!!」


「お前らもだぞ!!」


「はい!!」





「クロさん。」


「ん?」


「思った以上に食い下がれてますね?」


「…相手の攻めが単調だからな。たぶん…」


「たぶん?」


「向こうの監督は何の指示も出してない。」

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