《MUMEI》

緊張してたはずなのに、さすがに3時間も車に揺られると眠くなってきたな〜。




コクリッコクリッ




『こらっ!今、寝てたっしょ?』




ビクッ。




『寝てないよ。寝てない。ちょっと考え事してたの!本当だよ!』




『怪しいな〜。まぁ俺は、助手席で寝られるの嫌いじゃないからいいけどね!
それだけ安心してるってことでしょ?
命預けられちゃって頼られてるな〜って感じちゃうよ。』




“なんか本当にいつもの吉沢さんらしくないな〜。まぁ〜25歳の男ならこんな感じかな?”




『別に頼ってなんかないよ。考えすぎ〜!』




『ちぇっ!頭きた。
次のサービスエリアで運転交代〜!決定〜!』




『え〜!?』




なんて言い合ってると、本当に旅行にでも行く気分に錯覚しちゃう。




サービスエリアについてすぐ、吉沢さんの携帯が鳴って別行動になった。




私はトイレを済ませ、お菓子などを買い、先に車に戻っていた。




『ゴメン。お待たせ〜。』




運転席に座っている私を見て、爆笑しながら、吉沢さんは言った。




『はははっ。百瀬さんは本当に素直だな〜。ほらっ助手席に乗った!乗った!』




『だって…運転交代って言ったじゃん。』




『冗談だって〜。』




吉沢さんは私を、からかいながら車を走らせた。




『そう言えばさ〜さっきの電話、部長からだったんだよ。ちゃんと向かってるか確認だってさ。
あっ。そう!そう!
あともう一つ。
“二人きりだけど百瀬さんを襲っちゃ駄目だぞ!”
だってさ〜。
俺ってつくづく信用ねぇんだな…(笑)』




吉沢さんは笑ってたけど、私は顔から火が出るかと思った。




出来るだけ考えないようにしてたのに…部長め!
また緊張して何も話せなくなっちゃうじゃん…。




私は動揺を隠すように、さっき買ったばかりのお菓子を食べはじめた。




『おっ?ずりぃ〜。一人で何食べてんの?』




『…あ。食べる?
新発売のキャラメルマロンチョコ。』




『え!?甘そ〜!』




『いやならあげないよ〜。甘いの苦手なんだ?』




『いや。ウソウソ!
ちょうだいっ!あっ。』




と言って口を大きくあけてきた。




“えっ!?
まさか…これって[あ〜ん]ってやつ?
運転中だから手が使えないのは分かるけど…。
[あ〜ん]って!!?”




私は緊張で手が震えたけど、何とかごまかした。




私の指が吉沢さんの唇に触れそうでドキドキした。




『ん!?美味いじゃん。
でも、やっぱ甘ぇ〜!』




なんて言って吉沢さんは全く緊張なんてしてない様子だった…。




“吉沢さんは私の事どう思ってるんだろう…?”

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