《MUMEI》

(難しいよ〜)


私は水着を着るのに苦戦していた。


「あ〜、もう来てたんだ!って… 蝶子…」


「れ、麗子さん…」


麗子さんは、水着を着ている私をまじまじと見つめた。


バタンッ!


「わ、びっくりした!」


「…すみません」


慌てて扉を開けた琴子は、驚く麗子さんに頭を下げ…無言で、私をまじまじと見つめた。


私は焦って最後のヒモを結ぼうとしたが、背中のヒモはなかなか上手く結べなかった。


そんな私の様子を見て、麗子さんが、『私が結ぶわ』と言い出した。


「い、いいですよ!」


「女同士だし、いいじゃない」


麗子さんは私の後ろに回り込み、背中のヒモを掴んだ。


私が渋々自分の手を離すと、麗子さんが、素早く手を動かした。


「これ、選んだの、俊彦?」


結び終わった麗子さんが、改めて私の水着を見つめて質問してきたから、私は頷いた。

「…危険」


琴子が言うように、私の水着は、上下共に、ヒモがほどけたらあっさりと脱げるような危険な水着だった。

しかも、布の面積が極端に少なかった。


…とりあえず、そのままでは恥ずかしいので、私は白い半袖のパーカーを着込んだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫