《MUMEI》

「ゲッ!」


「『ゲッ!』とは何だ、麗子」


(誰でも思うよ…)


その証拠に、先に見ていた和馬と孝太は、『だろ?』と言い、琴子も驚いていた。


和馬と孝太が普通の…ハーフパンツのような水着を履いていたのに、俊彦は、かなり目のやり場に困るブーメランパンツを履いていたのだ。


「さあさあ蝶子、これで蝶子も恥ずかしくないよ!

さぁ、パーカー脱いで…」

「「その前にお前がこれ履け!」」


和馬と孝太が、私に近付こうとする俊彦を引き止めて、ハーフパンツ型の水着を手渡した。


…水着姿の俊彦を見て、別荘の管理人に『超特急で男物の普通の水着一枚』と頼んで買ってきてもらったのだと、和馬が早口で俊彦に説明した。


「え〜?」


「『え〜?』じゃない!」×5


俊彦以外の人間が叫んだ。

「う〜ん、そうだな。…蝶子が脱いだら履いてあげる」


「…俊彦が履いたら、…脱ぐ」


私の言葉に、俊彦は渋々水着を重ね履きした。


「約束、だよ?」


「わ、わかってるわよ」


(えぇい!)


私は気合いを入れて、パーカーのジッパーを下ろし、バッと脱いだ。


「こ、これで…」


「可愛い〜!やっぱり似合う!」

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