《MUMEI》
シーフードカレー
別荘に戻った私達は、全員で夕食作りを開始した。


「可愛いエプロン!」


俊彦が言う通り、私は咲子さんがメイド服に合わせて作った、フリフリの白いエプロンをしていた。


(…咲子さん、酷い〜)


私がバックに入れたのは、厨房でしているショート丈の黒いエプロンだった。


はず、なのに…バックを開けると、このエプロンが出てきた。


…しかも、三枚。


「琴子、つけてやるよ」


琴子が頷くと、和馬は嬉しそうに、琴子にフリフリの白いエプロンをつけ始めた。


「い、嫌よ、私は」


無言でエプロンを差し出す孝太に、麗子さんは珍しく逃げ腰だった。


「…孝太がつければいいじゃない」


「「やめろよ!」」


麗子さんの提案に、和馬と俊彦は悲鳴を上げた。


「うるさいなあ、わかったわよ!」


麗子さんは開き直ってエプロンをつけた。


「…似合う」


ポツリと言った孝太の言葉に、私達も頷いた。


「いいから、さっさと作るわよ!」


麗子さんは少し赤くなりながら、エビの殻をむき始めた。


私達も、慌てて作業にとりかかった。


今夜のメインはシーフードカレーだった。

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