《MUMEI》

「―タダじゃ許さん」


「分かってる…」




殴られんの位当たり前だ。



逆の立場だったら今頃二回位進化して炎吐いてるかもしれない。



俺はフローリングの木目を見据えながら次の言葉を静かに待つ。


「――ハルカちゃんのDVD……寄越せ…」



「!!ハルカ??ハルカちゃん??ハルヒィス?」



びっくりして日高を見ると満面の笑みを浮かべていて



「ハルヒィスのDVDで許す!どうせ長沢がいんだからもう必要ねえべ?」


「ハルヒィス……」




――俺が大好き好き好きなAV女優叶遥。


しかも…




「サイン付きのやつな、あれ一枚で良いから」

「ば…バカヤロウ!!あれはわざわざ学校さぼって年齢偽ってまで買ってきた命よりも大切なモノなんだぞ!!」




サインとはいっても普通のサインじゃない!!




アソコにペンをくわえさせ書いたサインでその模様はDVDにも納められている。




俺がじゃんけんという炎のバトルに勝ち抜き手に入れた、命よりも何よりも大切な一枚だ。




「恋人がいる佐伯にはもう不要だろ!良いから寄越せ!」



「ダメダメダメダメ!あれは俺の最高のオカズなんだ!!まだまだ使うんだからゼって〜ダメ!!」

「は〜?佐伯はハルヒィスと長沢どっちが良いんだよ!!」

「そりゃ〜ハルヒィスだろ!!あのベビーフェイスと巨乳に長沢が敵うもんか!!……あ……――――」




気がつけばバスタオルで髪を拭く長沢が俺らの前に立っていて…



「―――聖ちゃん…巨乳好きなんだ…」



いつもの無表情さで俺を見下ろしている。




「さ、佐伯!!俺帰るわ!、は、ハルヒィスは学校持って来い?な?じゃ〜なっ!」



すっかり着替えた日高は転がる様に部屋を出て行った。






―――その後……一日かけて抱かれまくってしまった事は…言うまでもなく……、





巨乳ではなく巨根の彼氏に俺のベビーフェイスは色んな液で…ぐちゃぐちゃにされた。






とうぶんハルヒィスの出番は…


――なさそうだ。







END




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