《MUMEI》

「やぁ、一年生かな♪」

突然の事にワケが分からなくなって、ブクブクと泡を吹きながら沈んでいくと、だんだん苦しくなってきて……あわてて水面に勢いよく飛び出してしまった。

「わっ!」
「なっ、何で俺が居るって分かったの!?」

慌てながらそう聞くと、先輩はちょっとびっくりしたような顔をすると、次に笑いながらシャワーの方を指さした。

「あんな派手なの置いてたら、誰か居るって普通に分かるよ」
「えっ!」

そう言って先輩が指さしたのは、真っ黄色な俺の愛しのスポンジボブだった。





先輩の隣にちょっと距離を置いて座ると、何を言っていいのか分からず恥ずかしくてモジモジしてしまう。

先輩はとても優しそうな雰囲気で、細いけど俺と全然違ってちゃんと筋肉はあって、常に笑顔のような顔に、髪は…お風呂だからオールバックになってるから分からないけど多分程良い長さぐらいのサラサラっぽい茶髪の人だった。

ブクブクブク……///

「どうした?」
(は…恥ずかしい///)

俺が気持ち良く仰向けで浮かんでたの見られたかな…慌てて飛び出したの見て変だと思われてないかな…迷惑かけてないかな。

恥ずかしさと不安で頭がいっぱいになり、湯船に潜って沈んでしまいたい気持ちになった。

「…ぷはっ///」

息が続かなくなって水面に勢い良く顔を出すと、先輩と目が合った。

「ひやっ!ご、ゴメンなさいっ///」

バタバタ暴れるなっていつもはるちゃんに怒られるから、先輩にも怒られると思って先に謝っておくと、先輩はそんな俺の様子を見て笑っていた。

「面白いねぇキミ」
「えっ///怒ってないの?」

ビックリしてそう聞いてみると、先輩は「キミの慌てた顔とか面白いじゃないか」と言って俺を抱え上げると、自分の膝に座らせてきた。

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